「ShotGun Messengers!! 〜あなたの思い、届けます〜」

CG解説

描いてるうちにいろいろ妄想が膨らんだので、雑記のついでに書いておきます。
「ショットガン・メッセンジャーズ」とは、アメリカ西部開拓時代の武装輸送会社
「ウェルズ・ファーゴ」社の使役する警備員です。
制服は適当なイメージですが…

この時代、無法者や山賊、インディアンが街道を荒らしまわっており、
迂闊に長距離輸送を行えば、あっという間に彼らの餌食となります。
しかもゴールドラッシュ時代であり、西部行きの馬車には莫大な黄金が積まれていたかもしれない。
安全な輸送がままならない。ゆえに自給自足が原則ですが、
すきっ腹には耐えられても、東部に残した恋人、妻子への思いには耐えられない。
私の考える山師のロマンの一端です。

治安の定まらないリスクを、敢えて商機と変えたのが「WELLS FARGO」社です。
ウェルズ・ファーゴ社は、アメリカン・エクスプレス社のミシシッピ以西の地域を担当していたに
過ぎなかったのですが、1852年にカリフォルニアの金鉱山から東部の銀行や鋳造所に
金を届ける仕事を担うようになってから、辺境で最も勇敢に法と秩序を守る一般企業になりました。
1870年には396の支店、輸送ルート、鉄道営業権を有し、西部のほとんどの鉱山、農場に
運輸網を張り巡らせていました。

彼らは料金さえもらえば、金塊であろうと、郵便物であろうと、東部からやってきた花嫁であろうと、
「機敏に、そして忠実に」をモットーに送り届けたといいます。
依頼品は南京錠のついた緑色の金庫に入れて送られます。絵の中には影もありませんが、
資料ってなんで描いた後に出てくるんでしょうか。

さてそんな金庫を狙って、雲霞の如く無法者がやってきます。
それらと戦ったのが、この「ShotGun Messengers」でした。
彼らは馭者と共に馬車に乗りこみ、勇敢に戦います。
また、不覚にも奪われてしまった金品を奪い返すため、犯罪者を追い詰めることも。

こう言う記録が残っています。



サンフランシスコ・ウェルズ・ファーゴ社

1870年11月5日〜1884年11月5日まで
当該期間中に、駅馬車強盗、列車強盗、押し込み強盗によって
奪われた、当社輸送貨物の総額
415312ドル55セント
駅馬車強盗および未遂の件数 347件
列車強盗および未遂の件数 8件
押し込み強盗および未遂の件数 23件
強盗によって殺された警備員の数 2人
強盗によって殺された乗客の数 4人
強盗中、計画中に警備員に殺され、または逮捕の際
反抗して殺された、強盗犯人の数
16人

この14年の期間で、ウェルズ・ファーゴ社は数億ドル分の金品を運んでおり、
軽微な損害は自慢だったようです。

こういう軍や警察では補えない治安維持のための武力を、私企業が担うという構図は
銃社会アメリカ独特のものかと思います。実に素晴らしい。
西の横綱がこの「機敏に、そして迅速に」がモットーのウェルズ・ファーゴ社、
東の横綱は「我々は眠らない」がモットーのピンカートン探偵社です。

これは私の脳内アメリカ史です。
殺傷沙汰、発砲沙汰がそんなにたくさんあったのか、記録の殺人件数とか見ると
見えてくるものもあります。映画と小説で作られてきた、ファンタジーでしょう。
人口だってカリフォルニアで10分の1以下だし、酒だってウイスキーのストレートの
アルコール濃度は15パーセントが限界だった時代です。
フィクションはフィクションと割り切る一方、

「S&W Mod3 WELLS FARGO MODEL」

ちゃんとこんなものも存在するんだから、
妄想が膨らんでしょうがないです。
なおこの銃は絵には入っておりません。